ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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金曜日の憂鬱

●1-4広島(1回戦)

 昔から一番好きな曜日は圧倒的に金曜日だった。土曜でも日曜でもなく金曜。なぜかと言うと、テレビが豪華だったからだ。特にテレ朝。東海地方だとメ〜テレ(私が子供のころは「名古屋テレビ」だった)。

 夕方から夜にかけてのラインナップは今振り返っても光り輝いている。まず17時半からの戦隊シリーズでテンションを上げ、18時台のニュースの間に夕飯や風呂を済ませ、19時から「ドラえもん」、19時半から「花金データランド」という怒涛の攻勢。そして20時からはトドメの「Mステ」でオトナが聴いているヒットソングに触れ、背伸びした気分に浸りながら夢の中へと旅立つわけである。

 今の子供たちを哀れむわけではないが、こんなにも魅力的だった金曜の夜が、あろうことか一茂や石原良純に乗っ取られてしまうのだから無念と言わざるを得ない。時間帯が変わった「Mステ」もすっかりVTR中心のヌルい構成に様変わりしてしまった。そりゃタモリだって魂が抜けたような表情になるっての。

 なんだかんだ言っていまだに私が金曜日を愛してやまないのは、ウィークデーとはまた違う、週末特有の開放感に浸りながらプレミアムビール片手に観るナイターがたまらなく好きだからだ。でも今年はそんな金曜日がすこしイヤになりそうだ。

 なぜなら大野雄大。この男が本調子に戻らない限り、今季の金曜日はこんな試合を見続けることになるかもしれないからだ。

 

開幕投手勢ぞろい

 

 鈴木誠也が凄すぎるのか、チャンスで1本出ないドラゴンズ打線が情けなさすぎるのか。いずれにしても大野があの出来では打つ手はない。

 鈴木、メヒアに打たれた3発はリードの単調さこそ気になるものの、基本的には打った打者を褒めるべき類のものだ。しかし問題は5回表の失点。大瀬良大地から始まった3連打で4点目を失った時点で大勢は決した。ここから急激にドラゴンズの攻撃が淡白になっていくわけだが、大瀬良相手に3点ビハインドでは味方の士気が下がるのも致し方あるまい。

 ちょうど1週間前の開幕投手たちがそのまま顔を並べた今日のカード。だが大野は、またしても開幕投手らしい投球をできぬまま苦虫を噛み潰したような表情でマウンドを降りた。ゲームセットの瞬間までマウンドに君臨した大瀬良とはあまりにも対照的に、降板後はベンチで青いマスクを付けて味方に声援を送り続けた。

 昨年、最優秀防御率のタイトルを獲得した投手がわずか半年でここまで変わってしまうものなのか。投げているボールがそこまで悪くは見えないだけに、余計にその炎上っぷりが不穏に映る。果たして技術だけの問題なのか、それともーー。

 

気がかりな腑抜けた表情

 

 見ていて気になるのは、今年の大野は打たれた際にやけに苦笑いを浮かべるのだ。「あーあ、また入っちゃったよ」といった風に、ふてくされたように笑みを浮かべるシーンを練習試合のときから何度も目にしている。いまいち気合が入っていないような、最初から諦めているような。3年前、お立ち台で涙を流してシーズン初勝利を喜んだのとは別人のような腑抜けた表情がやけに引っかかる。

 今季はFA権という分かりやすいニンジンがぶら下がっているだけに、プレッシャーに耐えかねておかしくなってしまったのか。あるいは ピンチでも笑みを絶やさないことでポジティブを維持できるという何年か前の福谷浩司をマネしているのか。真意は不明も、6連戦が続く今季は順当にいけば毎週金曜に登板することに変わりはない。

 せっかくの花金、どうせ飲むなら敗北の涙ではなく勝利の美酒がいい。そして大野には苦笑いではなく満面の笑顔がよく似合うはずだ。次回登板ではしっかりと引き締まった表情を期待したい。頼むぜ、エース。