ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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それぞれの春、戦いの始まり

 ”球春到来“

 キャンプ初日、北谷球場のグッズ売り場には根尾、松坂フィーバーに沸いた昨年の初日を上回る大勢の観衆が朝から長蛇の列を作ったという。全国区で話題になるようなスターがいるわけでもなし、それでもここまでの大盛況を呼んだのは、ひとえに今季のドラゴンズに対する期待の表れといえよう。

 当然のように最下位予想が並んだ昨年までとは違い、今季はAクラスを十分狙える戦力が整ったばかりか、あわよくば”優勝“の二文字を口にしても恥ずかしくない程度には、充実した状態でこのキャンプを迎えたと言っても過言ではない。

 

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▲大幅リニューアルの中スポに球団の“本気”を感じた。

 

 「今年は違うぞ」、そんな期待感は今日からリニューアルされた中日スポーツの一面にも表れていた。2003年10日1日から「中スポ」となっていた題字(右上)は16年半ぶりに創刊から使われていた「中日スポーツ」表記に戻り、球団カラーの青文字があしらわれている。また記事の顔ともいえる大見出しは文字の中から写真が覗くフォントが使われるなど、中スポらしからぬスタイリッシュさを随所に感じさせるデザインとなった。

 この大幅リニューアル初回の一面を飾ったのは堂々たる与田剛監督の仁王立ち。全体的に、なにか今年に懸ける球団の“本気”を感じると言ったら、深読みのし過ぎだろうか。

 

 

それぞれの春、戦いの始まり

 

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 2021年に設置が確実視されるホームランテラスの申し子・石川昂弥が、フリー打撃でいきなり度肝を抜いた。57スイング中15本の柵越え、うち1本は場外に消えた。規格外の打者だとは思っていたが、いざプロのユニフォームを着てこうした数字が出ると、練習とはいえ小躍りしたくなるほど嬉しいものだ。あまりの期待過剰はプレッシャーになって良くないとは分かりつつも、イヤでも期待せざるを得ない。

 初実戦となる7日の練習試合での起用を仁村徹二軍監督は明言している。とにかく早く実戦で見たい。こんな気持ちにさせてくれる新人は久々だ。

 

おまえ、それ去年も言ってたぞ

世の中の「こんな○○は久々だ」は大抵が久々じゃない説

 

スペシャリスト、6年ぶり帰還

 

 与田監督は今季のキーマンに「ベテラン」をあげた。

 「やはりベテランの奮起に期待したい。優勝した巨人もベテランが活躍していた。うちにも日本一を経験している選手がいる。チームのためにという気持ちをより強く持って欲しい」

 名前こそ出していないものの、日本一を最前線で経験した選手は山井大介、吉見一起、藤井淳志、平田良介の4人だけ。特に山井、吉見の両先発は昨季満足な成績が残せず、今季は文字どおり引退を懸けたシーズンになる。

 そんなベテラン達にとって、頼もしい人物が現場に帰ってきた。コンディショニングコーチの三木安司である。このお方、実は監督コーチ陣のなかで最も古株の“竜戦士”。ドラゴンズの一員になったのは、なんと近藤貞雄監督の1983年にまで遡る。

 元々は中京大学の陸上競技選手だったが、「二軍のトレーニングコーチを地元の大学生から採用したい」というドラゴンズの意向を梅村清弘学長(当時)が受け、三木に白羽の矢が立った。一年契約の不安定な仕事に迷うも、「男の一年や二年は社会勉強」という母の言葉に背中を押されて決断したという。

 そうは言っても野球のことは詳しくない、いわばシロウトだ。ましてや大半の選手より年の若いハタチそこそこの若造である。対して当時の二軍には三沢淳、堂上照らベテランもおり、いくら走ってもすぐに競技力が上がるわけでもないトレーニングの必要性を、根性論が染み付いた当時の選手達に分かってもらうには相当苦労したようだ。

 そうした中で2年目に入団してきたのが山本昌だった。年下のルーキーとあって、三木も容赦なく「しごいた」という。その甲斐あってか山本はトレーニングの目的、意義を早い段階で理解し、32年にも及ぶ現役生活を支えた身体づくりの土台を築いたのである。三木は「彼は僕の宝ですが、コーチングのノウハウを逆に学ばせてもらったと感謝しています」と語る。

 当初は1年契約で飛び込んだ世界だったが、1999年まで17年間、さらに2001年から2014年まで中日一筋に、あらゆる選手のコンディションを支え続けた。2014年に退任となった際には、選手達から「あそこまで肩とかヒジとかの状態を熟知してくれていた人はそうはいないのに」「何でこんなことになったのか理由が分からない」と不満の声が漏れたほどだ。

 その三木が、6年ぶりに現場に帰ってきた。表立って話題になることはほとんど無いが、ファンを沸かせるプレーの裏にはこうしたスペシャリストの支えがあることを忘れてはならない。

 2020年、球春到来。18歳の石川、60歳の三木。それぞれの想いを胸に、熱く激しい戦いが始まった。

 

【参考資料】

スポーツ報知「【中日】就任2年目の与田監督「ベテランの奮起に期待」

東京スポーツ「中日の球団人事にナインがショック」

中京大学 同窓会通信(2016 vol.34)