ちうにちを考える

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藤王!三浦!振り返る36年前のルーキー達

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 今年も無事、新人7選手が昇竜館に入寮した。近年は寮に何を持ち込むかが話題となることが多く、今年は石川昂弥の赤い昇り竜の日本画が中日スポーツの一面を飾った。また松田亘哲は名大生らしく卒論で使用する政治の書籍を多数持参、変わり種としてはドラ3岡野祐一郎の美顔パックが目を引くなど、たかが持ち物なれど各々の個性が垣間見えて面白い。

 ただ、新人選手がちやほやされるのはここまで。11日の土曜日からはいよいよナゴヤ球場での新人合同自主トレがスタートする。鬼の異名を取る仁村二軍監督は初日からの視察を明言しており、表情は穏やかでもシビアに戦力を選別するのは必至。いよいよデッド・オア・アライブの熾烈な競争の火蓋が切って落とされる。

 

 昨年の新人合同自主トレの話題は根尾一色。誇張抜きで一挙手一投足がニュースになる中で、キャンプインを目前に控えた1月23日に右ふくらはぎ肉離れで離脱。出遅れの影響はシーズン通して響いた。ドラフト1位は注目度も段違いのため、つい張り切って無理をしてしまうもの。今年もしばらくは石川昂が話題を独占することになりそうだが、本人は「怪我をしないのが一番。今、自分の持っている力以上のものを出そうとしないように、しっかり体と相談してやっていきたいです」*1と至って冷静。これなら安心しても良さそうだ。

 

高卒コンビが人気を博した'84年入団組

 

 ドラフトの正解は最低5年経たなければ分からないと言うように、後から振り返ればノーマークだった選手が出世頭になるなんてこともよくある話。長い中日の歴史の中でも顕著だったのが1984年に入団した6選手の運命だ。

 

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▲イヤーブックの表紙を飾る谷沢健一(中央)、
藤王(左)、三浦

 

 この年の目玉はとにかく藤王康晴。地元・享栄高からドラフト1位で入団した金の卵は、それこそ根尾を上回るほどの多大な期待と注目を集めてプロの世界に飛び込んだ。ファン必読の上級情報誌「月刊ドラゴンズ」ではドラフト直前の12月号から藤王を特集する破格の扱い。さらに入団を伝える1月号では“期待の若手”川又米利とのツーショットで早くも表紙を飾り、巻頭カラーで3ページに渡って特集が組まれた。あらゆるOBが口を揃えて絶賛する藤王評も、顛末を知ったうえで読むと言い知れぬペーソスを醸し出す。

 一方、藤王以外のところで話題を呼んだのは2位指名の仁村徹ではなく、3位指名の三浦将明だ。“Y高”こと横浜商業高では高3の春夏に甲子園連続出場を果たし、いずれも準優勝を収めた。荒木大輔の早実高、水野雄仁の池田高、KKコンビのPL高という一時代を彩った三大高校すべてと対戦したことでも知られる、当時の野球ファンなら誰もが覚えているであろう名投手である。長身パッチリ目のルックスは女性支持も高く、「月ドラ」1月号では藤王とは別個に「ハマっ子アイドル三浦」という見開き特集が組まれるほど人気を博した。ドラフト後の学園祭には三浦目当ての女性ファンが二千人も集結し、田村スカウト部長も「早急にギャル対策を検討しなくちゃ」と目を白黒させたという。*2

 その後も藤王、三浦のコンビは何かと登場。この年のイヤーブックの表紙にも抜擢されている。とにかく当時の誌面から伝わってくるのは、「必ずや藤王、三浦の投打の高卒スターが竜の未来を担うはずだ!」という溢れんばかりの期待と希望だ。ところが現実は厳しいもので、藤王は通算51安打、三浦は1勝もできぬまま、それぞれ1989年、1990年にドラゴンズを去った。眩いばかりに輝いていた二つ星はわずか7年で消え失せたのである。 

 

ノーマークのドラ5がマサかの大成

 

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▲新生山内政権の話題を独占した藤王だったが……
(「月刊ドラゴンズ」 1984年2月号より)

 

 上に掲載した合同自主トレに励む初々しい6選手の写真の注釈には「ルーキー・藤王、三浦、仁村ら6選手」と書かれている。この「ら」の中に逸材は隠れていた。5位・山本昌広である。

 5年目の1988年に彗星の如く頭角を表すと、藤王のラストイヤーとなった1989年には先発ローテに定着して9勝をマーク。その後の活躍はあらためて語る必要もあるまい。それにしても当初の注目度は低く、指名選手のプロフィールを紹介したドラフト直後の「月ドラ」1月号では大々的にページを割く藤王に対し、山本昌はモノクロページに簡単な経歴がわずか9行、写真なしで載っているだけ。同じ高卒ルーキーながら、えげつないまでの格差である。

 さて今年入団する7選手は、果たして将来振り返ったときにどんな感想を抱かせてくれるだろうか。もちろん石川昂の大成は最優先に願うとして、意外な選手が5年後、10年後のドラゴンズを背負って立つ姿も見てみたい。11日、満を持してスタートラインに立つ7人の未来に幸あれ。

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*1:2019.12.30 中日スポーツhttps://www.chunichi.co.jp/amp/chuspo/article/dragons/news/201912/CK2019123002000080.html

*2:「月刊ドラゴンズ」1984.1月号より