ちうにちを考える

中日ドラゴンズを浅く薄く考えます

李炳圭の思い出

◯1-0(53勝63敗2分)

 

昔、ドラゴンズに李炳圭(イ・ビョンギュ)という選手がいた。圧倒的な強さでリーグを制した2006年のオフ、能力に衰えが見えてきた不動の中堅手・アレックスを放出し、代わりにやって来たのが「韓国のイチロー」こと李炳圭だった(もっともこのフレーズ自体は決して韓国でそう呼ばれていたというわけではなく、入団に際して中日スポーツが勝手に命名しただけなので本人に非はないのだが)。

遡ること約10年前、同じようにイチローと並び評されていた韓国の天才打者・李鍾範(リー・ジョンボム)がぶっちゃけ期待ハズレだった苦い記憶があったため、アレックスの後釜が韓国の選手という時点で嫌な予感はしていたが、それでも韓国リーグで最多安打のタイトルを4度も獲得するなど相当の実績を残していたし、スカウトの目も節穴じゃないのだから大丈夫だろうと信じたい気持ちが強かった。

しかし実際に来日した李炳圭の想像を絶するほどのダメっぷりにファンは唖然とした。打てないだけならまだしも足が速いわけでもなきゃ肩が強いわけでもなく、俊敏性ゼロの守備にはライトを守る福留孝介も憮然とした表情を浮かべる始末。全てにおいてアレックスを下回る李炳圭を、それでも落合監督は基本的にスタメンで使い続け、某巨大掲示板や某オレンジ色のSNSでは連日ファンから罵詈雑言が飛び交う事態となった。

 

球団史上もっともヘイトを集めた選手

 

課題の打撃を克服しつつあった英智が……、期待の若手として覚醒の兆しをみせていた堂上剛裕が……、李炳圭というたった一人の存在によってベンチに追いやられるのもファンにとっては納得がいかなかった。落合の真意はわからないが、あまりにも周囲からのバッシングが激しかったために多少意地になっていたところもあったのではないかと思う。

結局3年契約を満了した李炳圭はパッとした成績も残せずに静かに退団。おそらくドラゴンズの歴史上もっともヘイトを集めた選手であり、今もファン同士の会話の中で李炳圭の名前がでるとやけに盛り上がるのは、それだけ(悪い意味で)印象的な選手だったということだろう。

 

鳥谷に重ねた李炳圭の面影

 

なぜ唐突に李炳圭の話を持ち出したのかと言うと、7回裏二死二、三塁で登場した代打・鳥谷に、思わず李炳圭の面影を重ね合わせてしまったからである。

好投の小笠原をいきなり降板させ、代わった藤嶋が連打を浴びる。流れとしては最悪。どう考えてもこの試合のターニングポイントとなる局面で、梅野に代えて鳥谷を出した矢野監督の真意がまったくわからない。たしかに梅野は最近調子が悪いようだし、春先に比べれば打率もずいぶんと落ちた。それでも怖い打者であることに変わりなく、ドラゴンズ側とすれば「代えてくれてありがとう」というのが本音である。この究極のシチュエーションで打点ゼロの打者を起用してくれるのだから、そう思うのも仕方あるまい。

そういえば李炳圭も何度チャンスを潰してもスタメンで登場し続け、ファンの怒りを買ったものだ。落合がそうであったように、梃子でも動かない矢野に対して相当な不満がたまっている阪神ファンも少なくないはずだ。ただ李炳圭と決定的に違うのは、功労者の鳥谷に対してはメディアも表立っては叩かないし、球場のファンも万雷の拍手を送り続けるということだ。

阪神サイドの本音がどうであれ、今日の試合はあの場面で代打を使ってくれたおかげでドラゴンズは勝てたと思う。ベンチには原口も中谷も残っている中で、打点ゼロの“切り札”は3球目を引っかけてセカンドゴロ。案の定である。

 

監督の強いこだわりは時にチームを迷走させてしまうから厄介だ

 

やっと李炳圭がいなくなったと思ったら今度はセサルが来たのは笑ったよな