ちうにちを考える

中日ドラゴンズを浅く薄く考えます

マスター調子いいじゃん

◯4-2(10勝7敗)

 

どこの球団にもよく分からない謎の選手というのがいるものだ。一体何年目の選手で、そもそもどういうタイプなのか。よほどの野球通でなければ認知していない謎の選手は、時として意外性を発揮して貴重な一打を放ったりする。

打たれた側としては何処の馬の骨か分からない謎の選手にやられたらショックも倍増するが、データも少ないので研究するにも限りがあり、何度か打たれるうちに「こいつはもしかしたら警戒すべき打者なのでは」と気付いていく。

思えば2007年9月にいきなり満塁で決勝打を放った坂本勇人も、2011年のCSで浅尾拓也からタイムリーを打った山田哲人も、その時点では全くの無名だった(もちろん両者とも名門校からドラフト1位で入団しているので高校時代の知名度はあったが)。

一部の鳴り物入り入団の選手を除いてみんな最初は「誰?これ」からスタートし、そして大半の選手は「誰?これ」のままユニフォームを脱いでいく。特にドラフト下位指名の選手は与えられるチャンスも少ないため、限られた出場機会にアピールできなければ厳しい生存競争からはじかれ、2度と姿を見ることなく静かに戦力外通告選手の一覧に名を刻む。多くの選手にとって「誰?これ」から脱却することが最初の目標になるのだ。

 

阿部、5年目の開花か

 

例えば阿部寿樹という選手も、他球団からみればまだまだ“謎”の域を出ていない選手だろう。7番セカンドという打順的にも、おそらく相手としては無難に抑えておきたいところ。仮にチャンスで回ってきても、まだ大したプレッシャーも与えていないはずだ。

確かに去年まではドラゴンズファンから見てもいまいちどういうタイプなのか把握しづらい選手だった。明大からホンダを経て2015年にドラフト5位で入団。当時の日刊スポーツによれば完全な“隠し球”扱いで、“内野ならどこでも守れる185センチの大型選手で、ポスト・アライバの期待”という当たり障りのない表現からも察する通り、要するにそれと言った特徴のない選手なのだ。

https://www.nikkansports.com/m/baseball/news/1554639_m.html?mode=all

 

その阿部がどういうわけだか新首脳陣の目に留まり、キャンプ、オープン戦を通して1軍に帯同。開幕戦のスタメンを勝ち取った際にはまだファンの間でも「なんで?」「大丈夫?」という不安の方が強かったように思う。いわんや相手からすれば「誰?これ」という選手なわけだが、4月2日のカープ戦で満塁から決勝タイムリーを打ったのを機にその存在感は日に日に増してきている。

そうなると記者も注目するのか、いろいろなエピソードがメディアで紹介されるようになり、17日にスポニチの『隠しマイク』に掲載されたこのエピソードは瞬く間にSNSを中心に広がりをみせた。

中日・与田監督は、打撃練習を終えた阿部に「マスター!今日もいいじゃん」。バーのマスターっぽいと伊東ヘッドコーチがあだ名を付けました。

ホームランを含む3打点の活躍でその名をまたひとつ知らしめた“マスター”阿部。いま、ひとりのプロ野球選手が「誰?これ」から脱却する瞬間を我々は目撃しているのかもしれない。