ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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福を呼ぶ男

キャンプ前日に投稿した「英智を探せ」というエントリーを覚えておられるだろうか。

要はかつての英智のような一芸に秀でた選手、いわゆるスペシャリストが今のドラゴンズには見当たらないので、いきなりレギュラー獲りを意識するのではなくまずはその枠を目指すべきだという内容だが、この時は昨年まで工藤隆人が担っていた代走・守備固めを念頭に置いて書いたつもりだった。

 

あれから1ヶ月が経ち、渡辺勝や井領など後釜候補は台頭してはいるものの、まだまだ切り札として使える段階には遠く及んでいないのが現状である。ではキャンプを通してスペシャリストは出てこなかったかと問われれば答えはNOだ。まだまだ実戦で通用するかどうかは未知数だが、この選手がスペシャリストとして機能すれば今季のやり繰りはかなり変わってくるはずだ。いったい誰のことを指しているのか。察しのいい方はお気づきだろう。左殺しのスペシャリスト・福敬登である。

 

小林正人を継ぐ者

 

昨年ブルペンが崩壊したのは投手の役割分担が不明瞭だったことが原因だと言われている。その場凌ぎの投手起用でいつ呼ばれるかも分からないなかで何度も肩を作る。いったい誰が勝ちパターンの投手で、誰が敗戦処理の投手なのかも分からない自転車操業の起用法はあっけなく破綻し、悪夢のような逆転負けを幾度となく招いた。

強かった頃のドラゴンズには明確な役割が与えられていた。1999年でいえば落合、サムソン、岩瀬、宣の必勝パターンがあったし、落合監督になってからは岡本、平井、岩瀬、そして浅尾らがブルペンを支えた。なかでも究極に限定的な使われ方をしていたのが左のワンポイント小林正人だった。

通算293登板で投球イニングは167.1回。阿部慎之助や小笠原道大といった左の強打者を殺すためだけにマウンドにあがり続け、キャリアハイの2011年には58試合に投げて防御率0.87を記録。2009年に1敗を喫したのを最後に引退まで188試合無敗を誇った。球史に燦然と輝く左殺しのスペシャリストだ。

だが小林正を最後にドラゴンズには左殺しがいなくなって久しい。どこが本職なんだか分からないまま迷走している投手は何人か浮かぶが、落合監督下で毎年のように好投手が現れたのは、決して偶然ではなく起用法によって各投手の個性を最大限に生かした結果であろう。

 

でもその時の投手コーチが去年の監督だぞ。

 

2004年の開幕投手以外は全て森に一任したと落合は吹聴してるけど、オレは懐疑的に捉えてる。
絶妙な投手起用の間とか、相手をイラつかせる一人一殺とか、どう考えても落合の性格そのものじゃん。

 

与田の福起用法に歓喜した!

 

去る3月2日のロッテ戦、8回のマウンドに立った田島が二死を取ると、現れたのは福だった。打席には左の高濱。たった1球で投ゴロに抑えた福はみごとに役目を果たすと、私は歓喜のあまり咽び泣いた。

「ようやく左殺しのスペシャリストが出てきたぞ!」

適材適所と言うように、人は適した役割を与えればこそ輝くものだ。さすが与田は侍ジャパンや楽天の投手陣を預かっただけのことはある。たった1試合、この福の起用法を見ただけで昨年のような惨憺たる有り様は見なくて済むことを確信した。

おそらく小林正も見る目がない首脳陣のもとではあのような活躍はできずにユニフォームを脱いでいたことだろう。それくらいブルペンは起用法が命。残念ながら入団以来それといった活躍ができずにいる福も、今年は明確な仕事場を与えられてシーズンに臨めそうだ。今日入籍を発表した福男はチームにも福を呼べるか。