ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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堂上直倫 2,000安打への道

 

堂上直倫が残り1630本に迫った通算2000安打に向けてラストスパート打法を習得した模様だ。

キャンプ序盤からフリー打撃で右へ左へ広角に打ち分ける様子を目撃した者から「おかしい、何かが違う」との声があがってはいたものの、この段階ではまだ冗談半分といった感じだった。だが動画やGIFがじわじわと拡散されるにつれ、にわかにファンの間で「今年は違うぞ」との期待が高まってきた。

たしかに映像にはここ数年の鈍重なスイングとは別人のように上体の力で無理くり打球を遠くへ飛ばす“強打者”直倫が映っていた。いい意味で名電時代を彷彿とさせる荒っぽいスイングだ。

いつのまにか守備の人という評価が定着した直倫だが、元々高校時代は豪打のスラッガーとして全国に名を轟かせ、3球団競合の末に父親、兄と同じ地元の中日に運命的な入団を果たしたという経緯を持つ。

 

もう13年も前の話か。今の若い子たちは知らなくてもおかしくないぞ

 

根尾が出てくるまでは過去30年間で最も鳴り物入りで入団した高校生だったよね

 

当時は余裕で2000本打つ選手になると思ったんだが……

 

ん?まだここから打つかもしれないぞ

 

ご冗談を。まだ370安打だぞ。今さら遅いだろ

 

あまりに身近にいた晩成2000安打到達者

 

決して冗談ではない。ましてや我々中日ファンは身近に晩成の2000安打到達者がいた事を忘れてはいけない。

1人目は落合博満。1979年に26歳でプロの門を叩いた異色の天才は3年目に早くも138安打を放って首位打者を獲得したが、何しろスタートが遅すぎた。今の堂上と同じ30歳のシーズンを終えた時点で通算492本。なんとあの落合と言えども、この時点では堂上より122本多いだけなのだ。

2人目は和田一浩。東北福祉大から神戸製鋼を経て1997年に25歳で西武に入団。初めて規定打席に乗ったのがなんと6年目の30歳の時。この年140安打を放ってチームをリーグ制覇に導いて大ブレークを果たしたが、通算安打はまだ289本。今の堂上よりも81本少ないのだ。それでも36歳で入団した中日で更なる進化を遂げて2014年に史上最年長での2000安打を達成したのは記憶に新しい。

このように堂上が今からでも充分2000安打を狙えることは中日に在籍歴のある偉大な2人が身をもって証明してくれているのだ。……とは言え今年堂上が迎える31歳のシーズンは、落合が4年連続3割を打ち、和田が前年を上回る162安打を放って屈指の強打者としての地位を確立した年でもある。根尾の入団でチャンスは限りなく閉ざされた。だがゼロではない以上、可能性を信じるのは自由だ。

 

2003年のファン感謝デーで“投手・福留”からナゴヤドームのレフトスタンドにホームランをぶち込んだ天才中学生・堂上直倫を目の当たりにしたあの日から、誰がなんと言おうと俺にとって堂上は永遠のスラッガー候補なんだよ

 

細く長く地道に積み重ねるのも一つの手

 

同期の坂本勇人は既に1711本。張本勲以来2人目のNPB通算3000安打も視野に入れる稀代の天才に今さらコンプレックスを感じる必要もあるまい。堂上は堂上らしく、細く長くキャリアを積み重ねて2000安打を狙うのも一つの手である。

 

どうしても2000安打は打たせたいんだな

 

思い出すのが山本昌と渡辺久信の勝ち星推移だ。同じ1984年に高卒で入団するも、プロ7年目を終えた25歳の時点で山本昌は通算24勝。1990年の10勝がキャリアハイのまだまだ一流には程遠い投手だった。

一方渡辺は2年目から黄金期西武の先発ローテに食い込み、3年目に早くも16勝をあげて最多勝。さらに5年目(15勝)、7年目(18勝)にも最多勝を獲得し、球界を代表するエースとして君臨した。ダブルエースと呼ばれた工藤公康も後年「俺は西武のエースはナベだと思ってた」と述懐している。この時通算78勝。比べるまでもなく格上は渡辺だ。

だが渡辺はここから急激に成績を落とし、1997年には西武を戦力外となりヤクルトに移籍。結局1998年限りで日本球界を引退し、通算成績は125勝に留まった。対して山本昌は90年代に3度最多勝を獲るなど覚醒し、最大54個あった勝ち星の差は渡辺引退後の2000年に遂に逆転。17年かけて雲の上の存在でもあった渡辺を追いつくばかりか追い越したのだった。

 

翻って堂上と坂本はまだ13年目。さすがに今から逆転するのは現実的ではないにしても、長いプロ野球の歴史を紐解けばまだまだ諦めるには早いことがお分かりになっただろう。

話題になっているキャンプでの打棒が本物かどうかは今の時点では判断できないが、ほんの少しでも尾張のプリンスの逆襲に期待して春を迎えられることが嬉しくてたまらない。