ちうにちを考える

中日ドラゴンズを浅く薄く考えます

FAは無常なり

 

ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。
よどみにうかぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。
世の中にある人と棲(すみか)と、又かくの如し。

 

これは鎌倉時代の初期に随筆家・鴨長明が書いた三代随筆のひとつ「方丈記」の有名な冒頭だ。中学か高校の国語の教科書に載っていたので記憶に残っている人も多いと思う。

意訳をすると「川の水っちゅうのは常に流れ続けてて同じ場所に留まることはない。人や住まいも似たようなもんだよね」という内容で、源平争乱や鎌倉幕府の成立など不安定な社会情勢に疲れ果てていた民衆の間で流行した末法思想と浄土真宗の影響が色濃く反映された方丈記は、日本人の無常観を表した作品だと言われている。

 

“無常観”。まさにこの時期プロ野球ファンが嫌というほど味わう感覚であろう。ずっといてくれると信じてたのに。あんなに一緒に喜びを分かち合ったのに。どうしてあなたは離れて行ってしまうの。ダサいJポップの歌詞のような心情にならずにはいられない、そんな時期がまた来てしまった。

なおホークスとジャイアンツのファンはちんぷんかんぷんでしょうから別に読まなくても構いません。お幸せそうで何よりです。

 

やっぱり!丸も浅村もFA行使!

 

そんなわけで今季FA戦士の中でもセパの二大巨頭といわれる丸佳浩と浅村栄斗が共に期限日を待たずに権利行使を宣言した。今季どころか近年稀に見るようなビッグプレイヤーのFA行使にストーブリーグは久々の大盛り上がり。

メディアを通した虚実入り乱れた情報合戦が日夜繰り広げられており、朝おきるたびに参戦球団や提示条件がころころ変わるというカオスな状況になっている。

 

特についこないだ日本シリーズを終えたばかりの丸が一週間も経たずに宣言したのには驚いた。

カープも宣言残留を認めており、残留も視野に入れた上での行使にはなるが、囲み取材での「僕自身も、もっと上のレベルへいきたいという思いはある」という言葉だけみれば移籍前提の行使だと言われても仕方ないだろう。

 

それにしても浅村といい丸といい、宣言するか否かが半々と言われていた選手は結局かなりの割合で宣言し、しかも移籍していく場合がほとんどである。

宣言して他球団と交渉したにも関わらず残留を選んだのはFAの歴史上で三浦大輔と金子千尋しかいないそうで、浅村も丸も一応残留も匂わしてはいるがファンは既に諦め半分というかお通夜ムードに突入しているようだ。

 

改めて平田と大島には感謝だよ、まったく

 

2年前のこの時期、中日ファンも気が気じゃない毎日を過ごしていたのが遠い昔のようである。何せ平田良介と大島洋平のダブル流出も余裕であり得る状況だったのだ。平田についてはヤクルトが熱心に調査していて宣言したらすぐに交渉の席を設ける予定だったと聞くし、大島はセンターラインが弱い巨人が2億円超の条件を用意していたという。

しかも単にメディアが勝手に騒いでいたわけでなく、本人達から「悩んでいる」「周りに相談して考える」など出て行く選手お決まりのフレーズまで飛び出す始末。移籍するかはともかく行使は十中八九間違いないと思われていたのだが--!

 

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11月5日、先に残留を表明した大島に続いて移籍願望が強いと言われていた平田も残留が決まり、めでたく主力2人のダブル引き留めに成功したのだった。

決め手は大島が「大学の先輩の森繁さんが監督になるから」、平田が「SNSでファンの残留を望む声を見たから」というもの。

おそらく移籍に傾いていたであろう主力2人を水面下の交渉で翻意させるという他球団では滅多にないミラクルを起こした中日球団各位、そして札束攻勢にめげず残留を決めてくれた平田と大島には、2年経ってよその主力が次々とFA移籍を狙わんとする今だからこそ改めて感謝と敬意を表したい。

 

そもそも中日はFA流出が少ないのだ

 

FA制度が導入されて第1号の行使選手が中日・落合博満だったのは有名だが、それ以降中日からバリバリの主力が国内他球団へ流出したケースは無い。強いて言うなら2008年オフに中村紀洋が楽天に移籍した事はあるが、あの時もファンはむしろ森野将彦をサードに戻せると歓迎する声のが多かったので少なくとも“痛い流出”ではなかったし、その後の中田賢一と高橋聡文も既にバリバリの主力とは言えない立場だったので、今回の浅村や丸のようなリーグの趨勢に影響を与えるようなFA流出は本当に経験が無いのだ。

しかし西武や広島のように昔から毎年のように主力が抜けるチームもある一方で、地方の新聞屋がなぜここまで健闘できるのか。正直言って、ファンにもよくわからない。

 

つまり中日ファンは比較的“無常観”を味わわずに済んでるんだね

 

むしろ金村とか川崎とかどちらかと言えば“獲る側”だからな、我が軍は

 

チョイスに悪意しか感じないのは気のせいかな