ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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京田コンバート拒否を考える

根尾昂が仮契約後の会見で「ショート一本でいきたい」と宣言したことで京田陽太のセカンドコンバート案が浮上した。

これに京田はすぐさま反応。「2年プロでやってきた実績があるし、簡単には譲れない」とコンバートを拒否したのだ。

 

当たり前だ。いくら根尾が凄いと言ってもまだ18歳。高卒新人が容易く割って入れるほど甘い世界ではない。未知数の新人に定位置を「どうぞどうぞ」と明け渡すほど京田もお人好しじゃないしプライドもあるのだ。

 

京田の遊撃守備は球界屈指!

 

根尾をくじで引き当てた時、アマチュア評論家の小関順二氏が「中日は京田がいるでしょ。あの職人守備を外すんですか!」と驚いていたのが印象的だった。

昔は守備の巧さというのは大雑把なイメージで評価していた感があり、記者投票のゴールデングラブ賞は今だにイメージ先行で選出されるきらいがある。

 

おそらく京田も一昔前ならスランプだった打撃成績のイメージから「京田の守備は雑」という評価になっていただろう。

だが実態はまるで異なる。「リーグにおける同じ守備位置の平均的な選手が守る場合に比べて、守備でどれだけの失点を防いだか」を示す守備指標(UZR)によると今季の京田は5.9で坂本勇人(10.0)に次ぐリーグ2位。さらに12球団でみても4位にあたる数値だ。

このようにデータを参考にすればイメージに引っ張られずに“真実”が見えてくる。もっとも今年のGG賞は田中と坂本の二強になるだろうし、パリーグに至ってはマイナスを記録した今宮健太が源田壮亮に次ぐ得票を集めるのだろうが……。

 

京田はまだ発展途上

 

昨年もUZR6.8でリーグ2位だった京田だが、今季は一年通して安定していたわけじゃない。5月にはUZR−2.0まで落ち、なおかつ打撃面も大スランプだった事もあり、痺れを切らしたファンや評論家から相当叩かれてた。

だが森繁監督が頑なにスタメンを外さなかった事が結果的には功を奏し、年間エラー数は昨季の14個から大幅に減ってわずか6個。最後まで本調子が戻らなかった打撃とは対象的に、守備では序盤の不振が嘘のように後半戦は軽快な動きを見せた。

 

そもそも歯車が狂ったのは守備からだった。

4月5日の巨人戦。松坂大輔の移籍後初登板とあって平日にも関わらず満員に膨らんだナゴヤドームで、痛恨のタイムリー悪送球を犯してしまったのだ。ここから長いトンネルに迷い込んだ。

オープン戦から好調だったバットはピタリと止まり、守備も走塁も精細を欠いた。

しかし好投手が例え不調でも試合の中で修整ができるように、京田も試合に出続ける中で守備の感覚を調整し、最終的には及第点の数値にまで上げた。

このあたりが京田のセンスのよさだ。こうした対応力からはまだ24歳の京田に強烈な伸び代を感じるし、井端弘和が初めて規定打席に達したのが入団4年目の26歳、荒木雅博が27歳だった事を考えれば京田を見限るのはあまりに早すぎる。

 

京田は卑屈にならなくていい

 

来季は課題の打撃を磨いてさあ不動のレギュラーに、という矢先の根尾登場である。

京田もいくら守備が巧くても今季のような打撃をしていたら不動のレギュラーにはなれないだろうし、ファンやメディアは根尾を見たくて仕方ないのだから京田にとってはかなりの逆境になるだろう。

 

ただ、京田が不甲斐ないからコンバートという話が持ち上がったかと言えば、それは違う。

知っての通り根尾は竜の申し子として何年も前から注目されており、例え京田が松井稼頭央や坂本勇人のように打ちまくっていても今年のドラフト1位が根尾なのは既定路線で、やはり根尾はショートのライバルとして宣戦布告していたはずだ。

そうなれば京田-根尾の二遊間を組ませたい球団としては器用な京田にセカンド転向を頼んでいただろうから、どのみち同じような展開になっていたと思う。

決して京田が悪いのではなく、なるべくしてなった展開だという事は主張しておきたい。

 

青写真どおりにはいかない

 

よく引き合いに出るのは1988年にルーキー立浪和義のために宇野勝がコンバートさせられた話だが、結局立浪は怪我もあって4年でセカンドに転向。「向こう10年中日のショートは安泰」と言われた立浪入団も青写真どおりにはいかなかった。

また1999年には前年トレードで移籍し活躍した名手・久慈照嘉を控えに回してルーキー福留孝介をショートのレギュラーに固定。だが福留は3年でショートを諦めて外野に転向し、ショートには二軍から台頭してきた井端が定着した。こちらも当初の青写真とはずいぶん異なる展開である。

 

要は今の段階でコンバートだなんだと騒いでも得てして青写真どおりにはいかないという事だね

 

未来は神のみぞ知る。いずれにせよレベルの高い競争は大歓迎だ